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myukitsu

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03-25 05:43



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毒母は、その日は宿泊先でクズオと一緒に過ごしたかったようだが、それはかなわなかったらしい。

子供たちと少し距離をとった木陰で立ち話する大人二人から「楽しくなさそうな空気」が、漏れてきた。 


毒母と姉妹の3人になった隙に言う。

「今日お仕事に戻らなくちゃいけないって、このあとおじさん帰るんだって。」

その「おじさん」と呼ばれた人物に、特に関心のない姉妹はそれぞれ上の空の返事をし、毒母のへそが更に曲がった。

子供たちが自分が思うほどがっかりしてくれなかったことに不機嫌な毒母。

そんなこと言われたって、興味の無い人が一緒にいようが居まいが何の感情も湧かないのだから仕方ない。


毒母は、子供たちがもう少し「おじさん」を好いていると思っている。

だから一緒にいられる時間が短くて残念がらないことを、薄情だと言いたいのだ。

一人舞い上がったり、可愛くなくふてくされたりする毒母は、扱いが面倒くさい。

直感的に毒母の心情がどの辺にあるのかは分かるものの、その理由を分析する力も語彙力もない子供の私は、その当時こんな風に気持ちを表すことができなかった。



五色沼の後、どこへ向かったのか記憶がない。

でもこのやりとりの後で、行き先を決めたのは確かだった。

「おじさんが来ない。あてにならない。一緒に○○に行こうと思ったのに。なんだよもう。」

聞き流すには耳で変にひっかかるセリフを、ブツブツと吐いている毒母。


「どう思うのよ?自分の意見がないわけ?」

おもむろに矛先がこちらへ向かってきた。なにかと思ったら、次の行き先の意見を求められていた。

知るか。言えない。


この状況下で感想や次の行き先の希望を問われ、「どうでもいい」「どこでもいい」「わからない」「つまらない」は良くない方に行くのは何となくわかっている。

仕方なく、「(この辺のことは)良くわからないから何でもいい」という返事を選び出すのが精一杯だったが、この返事でも毒母は不満そうだった。


結局毒母の好みの美術館か何かに行ったような気もするが、何を見たのかやはり覚えていない。

袖にされたうっぷんをやつ当たってくるのだが、毒母本人は自覚がない。

「どうしてあんたは、人の気持ちがわからないのよ。」

心の中に押し寄せてくる、どす黒いもやもやしたモノ。

そのモヤモヤの正体はわからなかったが、いい加減うんざりした感覚だけはわかった。

私は、早く時が流れて強制的に場面転換されることをひたすら願った。





myukitsu

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02-20 16:42



翌朝、何時頃に起きたのか覚えていない。

朝食の時間帯には間に合っていたようなので、7:00くらいだったのだろうか。

その日1日の予定は毒母たちによって決められていたので、朝食後も何となく急かされ気味にされた。

前日の過度の緊張と疲労が多少は残っていたのかもしれないが、酒乱男から解放される貴重な一日をしっかり堪能しようと

気力だけは充分だった。


五色沼をめぐった。お天気は暑すぎず、雨も無く、歩くのにはちょうど良かったと思う。

はじめからクズオが同行していた記憶はない。

記憶がないだけで一緒にいたのだろうか。

クズオ、毒母、妹、私。

このメンバーでは、結局私と妹が一緒に歩くことには変わりはなく、道中の印象はまるで残っていない。

文字通り「五色」の神秘的な沼の水は、眺めているだけでひとときを浄化してくれ、自分だけの世界に浸ることができた。


最後の沼にたどり着いた頃だっただろうか。

バンガロー風の売店やレストハウスのようなものがあり、そこで休憩をとった。

この時にはクズオは合流しており、毒母となにやら話をしていた。

複雑な話しではなかったのだろうし、小学3年生はある程度物事が分かってしまう年齢。

かといって完全に大人の腹の内を読むことはできず、秘密にしておきたいことを無意識でバラしてしまうこともあるので、

警戒はしていたのだと思う。


旅館で作ってもらったおにぎりと、水筒のお茶を流し込む間だけ4人が1つのテーブルについた。

クズオからは当たり障りの無い言葉をかけられ、とりあえず毒母がよそ行きの機嫌の良い声を出していたので、

私はとりあえずそれについては身の安全は確保されたと、一安心していた。


妙な空気感や沈黙が嫌で、思い出したようにどうでもいいおしゃべりを挟んだ。

毒母にはこの子供なりの気遣いが分からなかったようで、楽しめると思った話には高らかな笑い声をさせるが、

自分の気分にそぐわないとしかめ面をしたりクズオに隠れて睨み付けて無言の圧力をかけてきた。


クズオがどの程度私たち姉妹に関心があるのかずっと気にしてみていたが、嫌われない程度の距離以上に接近してくる

気配は無く、それは「このおじさんは私たち(姉妹)にとって、助けを求められる相手ではない」と、判断した。


妹はこの時、何を感じ、何を思っていたのだろう。

珍しく一人1本ずつ買い与えられたアイスキャンディーに、この日の子供心は簡単に買収されてしまった。



目的地は、福島県内だった。郡山駅までは特急電車に乗った。


家族で出かけること自体が少なかった上に、酒乱男は車に乗ることが好きで自分で所有していないにも関わらず

たまの遠出の時には友人あたりから借りてきて、それに家族全員を乗せていた。

そのため、特急電車に乗った記憶がない。


毒母は

「あんたがもっと小さい頃にはあちこち出かけた。特急も乗った。」

と言うが、小学3年生よりももっとチビだった頃のことなど、記憶に残っているはずが無い。

恐らく幼稚園に上がる前のことなのだ。


緊張して特急に乗っていると、近くの席に座った中年の女性がみかんをくれた。

どんな会話をしたのか、みかんの味がどんなだったのか、記憶は曖昧だったがその間だけはうっかり寝てしまうこともないし、

行き先を尋ねてくれたので、油断して寝てしまってもその女性が起こしてくれるような気持ちになっていたことが思い出される。


到着の翌日に五色沼へ出かけたが、宿泊施設からさほど遠くなかった記憶があるので猪苗代や裏磐梯辺りだったのだろうか。

郡山駅から更に電車に幾駅か乗った気がするのだが、もう忘れてしまった。


最後は宿泊施設の近くを通る路線バスに乗った。

もうこのぐらいになると緊張も続かず疲れきっていて、はずみでバスの中で眠り込んでしまった。


はっと目が覚めて車窓から辺りを見渡すと、建物があるかも怪しいような山道を進んでいるように見えた。

いくつかバス停を過ごしてから、自分が乗り過ごしたのだと思い込んだ。


意を決して妹とバスを降りる。

こちらが慌てるとまだ幼い妹は、不安から騒いでしまうだろう。

責め立てられると結局はこちらがダメージを受けるのは経験上よく分かっていたので、極力冷静に見えるように振舞った。


バスは坂道を登っていた。

バス停を降りてどれくらいのタイミングで人に会ったのか覚えていないが、乗り過ごしたのではなく降りるべきバス停より1つ2つ

早く降りてしまったことに気が付いた。

一本道だということもわかり、都内のバス停の1つ2つの感覚で山道を登っていった。

車が通る道で、舗装もされているので足元が悪くて歩きにくいということはなく、ただ左手に迫る林と道の境目の草むらに

百合がいくつも咲いているのに気をとられていた。


バス停を降りてから1時間以上歩いたのかもしれない。

へとへとになって目的の宿泊施設にたどり着くと、女将さんと毒母がなにやら話しかけてきたが、もうどうでも良かった。


特に毒母が何か言っていたが、車しか通らないような道では公衆電話もあるはずがない。

連絡も無く夕食の時間に遅れて到着したので、気を揉ませたのだろうとは思う。

でもこの日一番気疲れしたのは、幼稚園児を連れた小学3年生に違いないのではないだろうか。

普段は割と素直に何でも聞き入れる私が、もう何も聞きたくないと布団にもぐりこんだのだった。



みゅきつ

Author:みゅきつ
ずっと思っていた「言葉で表現すること」へのチャレンジの第一歩としてこのサイトを立ち上げることにしました。

考え事をしながら部屋の天窓を振り向いたら、夜が見えました。

何と無く笑われた気がしました。優しい微笑みなのか、意地悪な微笑みなのか。

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